『老いの身じたく』 [本]

幸田文・著(平凡社)

自分では、なんて表現したらいいのかわからないふとした感情を、
すとんと腹落ちする表現で言語化してくれる。
『崩れ』
読んだ時から、この方の文章のトリコだ。

『老いの身じたく』では、おばあさんの誰にともなくつぶやいたひとことを耳にしたその時の状況を、

”(前略)至極自然に言葉になって口を出たのだろうし、私のほうはそれこそ全く、思いもかけぬ不意のうちに、ただ耳があったがために聞こえて聞いた、ということである。”

と記されていた。
その状況が目に浮かぶようだ。

すごい文章力。
思わず備忘録として記してしまうほど。



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『霊長類ヒト科 動物図鑑』 [本]

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向田邦子(文集文庫)

昭和の頑固おやじな日常話が好き。
「え、そんなことが?」とか「昔はそうだったのか」という発見がいっぱいある。

だだ、読む分には楽しいけれど、いざ自分の父母だったらちょっと耐えられない!
私だと堪え性がないから、反抗したくてもできなくて、ものすごく心卑屈に育ちそう。

そうならないところが、教養なのかも……。
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『何が困るかって』 [本]

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坂本司(東京創元社)

こんなお話も書かれるんだ! 
新鮮!
読後感想としては、あとがきの「ぜんぶ困ります」
が正にそう。

うーん、困る!
※語尾に(笑)がつく。
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『少女』 [本]

湊かなえ著(双葉文庫)

2度目の読了。たぶん。
ところどころ読み覚えがあるから。

なぜにこんなに忘れているのやら。
何度も新鮮な思いで読めるからいいけど、初めて読んだときの感想も記憶にないから、もったいないなぁ。

友が友を想う。ただの友情ではなく、
妬み、そねみ、憧れ、焦燥感なんかが入り混じった少女の心の影が、読み手を惹きつける。

でもそんな深い感情で人と付き合ったことがないから、ちょっとうらやましい。
たとえ、テーマが因果応報で、物語のあとに続く彼女たちの未来に、うっすらと影が指していようとも。
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『アクロイド殺人事件』 [本]

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アガサ・クリスティ

そんなー!
いや、そういえばそうだった!

しかし、探偵が犯人に……をやんわりと遠回しにすすめるなんて。
古典なのに新鮮で衝撃的。

コナンくんならしないな、絶対。

アガサ・クリスティが今も不滅の人気なのが分かる。
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『読み解き「般若心経」』 [本]

伊藤比呂美・著(朝日文庫)

書影撮るの忘れた・・・
しまった。

ふしぎな印象の文体だったけど、難しく捉えがちな「般若心経」がちょっと身近になった、
ような気がする。

懺悔文(さんげもん)の
”自分が起こした色々な過ちは、自分の「身体(からだ)・語(ことば)・意(いしき)」から生まれたもの”
は、はっとした。
欲のままにむさぼる心、怒る心、愚かな心、すべて自分の身の内から生まれるものという。
妬み・嫉み・恨み、みたいなものかな。
思い当たる節アリアリだよ。

「色即是空(しきそくぜくう)  空即是色(くうそくぜしき)」は般若心経のとても大切な一説と言われているけど、意味はよく知らなかった。


色(しき)は形あるもの、たとえば鉛筆。
人は鉛筆を見ると、「ああ、字を書くものだ。紙が欲しいな」とかいろんな考えが浮かんでくる。
でも猫が鉛筆を見ても、鉛筆とは思わない。猫にとってそれは鉛筆ではなく、ただの棒かもしれない。
カエルにとっては、鉛筆でもなく、棒でもなく、目に入っても何ら意味のないものかもしれない。
カエルにとっては鉛筆の存在はないもの同然。

だから、自分の頭の中で意味を持たせるしかない。
自分たちが当然だと思っているようなことを、本当に当然なのかな?と考えることが大切だと思う。

というようなことが書かれていた。
すごく深い! さすが悟りを開かれた仏の教えだ。
ほんとはもっともっと深い意味があるんだけど、今はまだここまでしか実感できなかった。

すごく興味が出てきた。
まずは、写経をして自分と向き合ってみようかな。



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『山女日記』 [本]

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湊かなえ・著(幻冬舎文庫)

高尾山とか、日帰りハイキングレベルの登山だけと、私も山が好き。
これを読んだら、無性に登りたくなった。

地図が読めないので、一人で行くと遭難するのでは、と思うとなかなか冒険ができない。
でも「妙高山」「火打山」なら大丈夫そう。
まだまだ山小屋一泊はハードルが高いので、どちらか片方でもいいなぁ。

白馬八方尾根のトレッキングも捨てがたい。

よし。今年の夏は、どっちかに行こう。
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『老乱』 [本]

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久坂部羊・著(朝日文庫)

他人事とは思えない。

この作家さんはお医者さんでもあるので、描写がリアル。
医療小説で難しいかなと先入観があったけど、どの作品も引き込まれてしまう。

クセになるなぁ。
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『きいろいゾウ』 [本]

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西加奈子/著(小学館文庫)
このタイプの女性、実際にいるととてもモヤモヤするワタシ。
本人はそれはそれで悩んでいるんだろけど、「いいなぁ。周りにも受け入れられて、理解者もいて、大事にされて」ってひがんでしまう。
そして、「私もそうなの!」って共感する人も多いらしいので、それにもびっくりする。

最後に「よかったね」って思えるんだけど、やっぱりちょっと悔しくも思う。
小説の登場人物なんだけど、とてもリアルで、自分の感情が揺さぶられてとても楽しい。

これはほかの人の感想を聞いてみたい本だと思う。
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『そして誰もいなくなった』 [本]

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アガサ・クリスティー 著

自分だけが知っている自分の罪、そしていつまでもしこりとなって頭から剥がれない罪悪感。
リアルだー。

読んだつもりになってたけど、多分映画でみたんだろうな。いくつかシーンが思い出される。

一生に一度は読んでおかねば損だな、と、思ったよ。

今日はひさびさの年休なんだけど、特に何をするわけではなく、部屋からも出ず本を読んで終わりそう。
私らしいけど、もっと趣味を見つけないとなぁ。
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