『姑の遺品整理は、迷惑です』 [本]

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垣谷美雨・著(双葉文庫)

ジワる。

突然姑が亡くなった。遺品整理をしなくてはならないが、終の棲家はエレベーターのない団地の4階だった。
しかも姑は物持ちで、片付けても片付けても、物は出てくる。

その度、姑に悪態をつきながら、整然と身支度をして潔く逝った、実家の母と比べる主人公。

そうこうしているうちに、団地の自治会の面々が手伝いを名乗り出て、生前の姑に世話になったという。

他人から聞く姑の話は、いままで自分が見てきた姑とはまた違う一面で、人情味に溢れた人だったと知れる。

部屋の片付けをひたすらする話なんだけど、荷物一つに故人の人柄がにじみ出ていて、「私もこういう(この話のお姑さんみたいな)人になりたい」と思ったよ。

読み終わったら、心がほわほわしている。
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『祈り』 [本]

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伊岡瞬・著(文春文庫)

男性主人公が2人。
とにかく、そのひとりの人間性が腹立たしい。

仕事も適当。気に入らなければ毒づき、年上の女性上司に親切にされると、厚かましくも自分に気があると都合のよい解釈をして頭にのって、何様発言でその人を傷つける。
はっきり言って、ダメ男だ。

なのに、もうひとりの主人公はこの青年が事故で死の淵にいるとき「この青年が、どんな悪いことをしたというのだーー」
と、自身が嫌っている特殊能力を振り絞って助かるように願ってしまう。

人を幸せ願うのはいいと思う。
その前に、そいつ、いい奴か???
この感覚、男と女では違うんだろうか。あんたが命をかけてまで祈るほどに?

男性作者の描く男性と、女性作者の描く男性像が微妙に違ってるのって、面白いなって思う。

その差異が、色々相容れない物語を生むんだろうな。
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『命売ります』 [本]

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三島由紀夫・著(ちくま文庫)

少ししか三島文学は読んでないくせに、なんだかすごく意外な作品に思えた。
ギャグの要素が強くて、軽快な文章で、ちょっとシニカル。

タイトルに興味を惹かれて購入したんだけど、こんな話も書いていたのかー、と新鮮な驚きだった。
筒井康隆さんとか、星新一さんっぽいな、と軽やかに読み進めてたら、後半はなるほどやっぱり三島節。
生死観が、考えさせられる。

いつ死んでもいいから、命を売ろう。
売り手が現れたが、助かってしまう。
何度か繰り返して、少し命を売る仕事の中休みをしようとすると、命が狙われ出した。
逃げて潜伏するうちに気づく。逃げるというその動機が「死の恐怖」そのものだということに。

このラスト、三島由紀夫が語ったという
『人は自分のためだけに生きて自分のためだけに死ねるほど強くない』
に通じる気がする。

熱く語れるほどに三島文学に詳しくないんだけど、これだけは言える。
多感な思春期のときに、出会わなくてよかった!
ぜったい影響受ける。自分……。
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『農ガール、農ライフ』 [本]

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垣谷美雨・著(祥伝社文庫)

農業をやろうかな、と思っている人にはぜひ読んでほしい。
少し勉強したくらいでは、そうそううまくはいかない。
その部分が、とてもリアル。
農業、軽く考えてはいけない。

畑が借りられない。
婚活における女性のマナー(ルール?)は一見時代錯誤だけれど、的を得ている。

なんだかんだと困難を乗り越えて、最後は結構トントン拍子なのはお約束だけど、主人公が周りの人に「しっかりしている」と言われて、

ーー子供の頃から、そう言われるたびに心の中で反発してきた。自分は本当は小さくて弱い女の子なのだ。本当の姿を誰もわかってくれない。そう思ってきた。
だが、今日初めて考えが変わった。
「そうですね。私って強いですよね」ーー

と言うところが、すごく好き。 

誰でも自分はか弱い。誰も本当の自分を見てくれない、とかヒロインになりたいものだと思うけど、この主人公はかっこいい。

私も、いつかは週末農家になりたいものだ。

なれるかなー…
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『結婚相手は抽選で』『悪寒』 [本]

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『結婚相手は抽選で』(垣谷美海・著)
こんなシステムがあったら踏ん切りついたかなー。
いや、やっぱり決められなかっただろうな。
ちょっと共感しながら読了。
読みやすくって、伊岡さんの本とセットで読むようにしている。

『悪寒』(伊岡瞬・著)
この本の前に、『代償』を読んだのだけれど、犯人の人間性が腹立たしくて腹立たしくて、箸休め的に垣谷さんの作品を読んで冷静さを保った。
解説に、筆者は、徹底的な悪者を描きたかった、みたいなことを言っていらしたと書いていて、激しく納得。

息切れしながら読んだ作品は久しぶりがも!
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『あなたのゼイ肉、落とします』 [本]

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垣谷美雨・著(双葉文庫)
脂肪を落とすダイエット指南本じゃない!
これは心の贅肉を落とす指南書だった。

そうなんだよねー。
なんだかんだと実行継続できないし、言い訳ばっかり。
つなるところ「ひま」なんだよ。
それしか考えることがないほど、「ひま」なんだよ。
私もゼイ肉を落とすために、何か夢中になることをしなくては。

ということで、受講料にビビッて、去年の5月から1年間考えていた講座?を受けようと
心に誓う。

初志貫徹。
編集スキルを、上げていくぞー。
悩むなら行動を! わかっちゃいるけど、の言い訳ができなくなる本。

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『夜明けのラジオ』 [本]

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石田千・著(講談社)

至る所、さり気ない表現にはっとする。
こういう表現があったのか。とか、こう表現すればいいのか、とか、読後感がとにかくすがすがしい。

ときには、ほろ苦い恋人との昔ばなしや、おばあさんが、亡くなったときの思い出とか、なんて叙情的。
周りをとてもよく見られている。

モノ書きには、こんな観察眼や感性がいるんだなあ。

春になったら、感性を磨く習い事?に申し込むのだ。
ものを見て考える習慣を身につけるために。
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『箸もてば』 [本]

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石田千・著(新講社)

ことばが、うつくしい。
さらさらと流れる小川のよう。
感化されて、思わず感想の表現も詩的になってしまう。

十八歳の春を綴ったエッセイでは、

__こころとからだは、つがいの小鳥のようなもの。__

と表現されていて、はっとした。
絹糸で編まれたまっさらなシーツにくるまっているような、ちょっとくすぐったいような、なんて繊細な感性。
丁寧に暮らしてこられたんだろうな。

また、「三暑四涼」という表現があったけど、読み方がわからない。
三寒四温が冬の言葉だから、春先に使うことばなんだろうな、って類推するしかない、この言葉知らずなワタシ。

同世代なんだけど、この語彙の違い、感性の細やかさ、私にはないものばかりだった。

読後感がすがすがしい。
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『パレートの誤算』 [本]

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柚月裕子・著(祥伝社文庫)

読んだことはないはずなんだけど、なんとなく懐かしい感じがする。すごく頭の中で映像が浮かぶ。
文章で、音や風景、音声を纏わせる文章力、憧れる!

ドラマ化してほしい。
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『合理的にあり得ない』 [本]

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柚月裕子・著(講談社文庫)

ドラマで天海祐希さんが上水流涼子を演じておられた。
当たり前かもしれないけど、映像と文字だと、印象がすごく違った。
個人的には、柚月先生は、こんなライトタッチな推理モノもお手の物なんだなぁ、と楽しく読了。
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