「人文知」で考えたこと [日常]

2月25日に、「第3回人文知応援大会 レジリエントな未来に向けて」~人類の進化と歴史から学ぶ~
を聴講してきた。
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「人文知ってなんだ?」っていろいろググったら、

「人文知」は、文化を愛で、芸術に親しみ、人文学を身につけることを通じて、 人の心の中に生まれてくるしなやかで強靭な「知の力」
と定義されていた。

きっと教養のある知識人なら「ああ、それそれ」ってなるんだろうけれど、私はまだまだ腹落ちしていないので、うまく人に説明できない。それがもどかしかったので、実際に聴講すれば、理解・納得できるかも? と思って参加した。

基調講演では、類人猿を研究されているという山極 壽一氏(総合地球環境学研究所 所長)の「人類はどこで間違えたのか? ~進化と歴史から学ぶ~」が面白くて、興味深かった。
なんとなく、人間の先祖と言われる類人猿のほうが進化した種だと思っていたんだけど、実はサルのほうが進化しているのだという。確かに類人猿は絶滅危惧種だものなぁ。
類人猿とサルの特性の違いの一つに、食事を例にすると、サルは強い個体が食糧を独占し、類人猿は仲間と分け合って食べる社会性を持つというのがあるそうだ。
なるほど。そのあたりは人間と同じか。
そう考えると、人間は決して進化した種とは一概に言えないのかもしれない。
この気づきへの投げかけこそが、今回の討論の趣旨だったのでは、と今、まとめながら考えに至るわたし。

もうひとつ興味深かったのは、「白目」があるのは人間だけだということ。
改めて聞かされると、え! そうだっけ? っと驚くけど、確かに犬も猫も牛も白目がない!
これは人間の特徴で、白目は相手の気持ちを読むことができる「共感力」を高めるものだそうだ。
確かに、黒目の動きでなんとなく感情は読めるものなぁ。
「目は口程に物を言う」とも言うし。
まさに目からうろこのお話だった。

2部のパネル討論会も、パネリストがすごかった。
映画『あん』の映画監督だったり、”ピアニスト兼数学研究者兼STEAM教育者”と肩書の情報が渋滞している方だったり、登壇者がすでに多様性だった。

基調講演を受けて、「人類はどこで間違えたか」という討論がされ、3つの分岐点が指摘された。
・言葉 言語:共通のものを知るには便利だが、表層でうそをつく
・農耕牧畜社会:狩猟生活から定住することにより、所有欲が生まれ争いが生まれた
・産業革命:大量生産、大量消費の時代

でもそれを過ちというのだろうか。
言っていいのだろうか。
これは討論を聞いて、自分なりに考えて抱いた違和感だ。
そこからどんな答えが導かれるのかな? と思っていたんだけれど、議論したところでタイムアップ。

「だからこそ、今、何が必要なのか。人類の歴史から、過去に蓄積されてきた『危機を生き抜く知』を学び直すことが大切」とする大会宣言で締めくくられた。

あれ? そうか。
「こうだ」という答えが出なくてもいいんだっけ。
結局、誰にどんなアクションを求めているのかな? って答えを期待してたから、ちょっと混乱してしまった。
「フォーラム」主催の「パネル討論」だったのだった。


最後にアンケートの案内があり、その場では頭がまとまらなかったので
提出できなかったんだけど、声を大にしていいたい!
テーマに取り上げてほしいことがある!

討論会中「風景は自然であり文化である」という言葉を引用されていた。
そして、失われそうな子守唄を探して集めているのだとも。
子守唄のバックには、貧困と戦争があるそうだ。
それと同じように、失われていく土地固有の種を、在来種にも焦点を当ててください。

世界各国を訪れていらっしゃるパネリストの方々だから、その国の、その各地に根付いた食材でできた食事を食べてほしい。
その食材がその地に根付いた理由について、ほんの一瞬でも耳を傾けてほしい。
なぜ、その種が今なお残っているのかを。
そして、それが風前の灯火であるということを。

「食」という人間の営みの根源を、「種」という始まりの一粒から考えてほしい。

基調講演「人類はどこで間違えたか」を受けたパネル討論会を拝聴して、
自分に置き換えて考えた答えは、やはり「種」だった。
科学の進歩で、スーパーで手に入る野菜はほぼ99%がF1品種に置き換わった。
それは過ちか。

答えは出ない。
でも疑問を持ち続けて、守り続けている人たちのことを発信し続けながら、
記録として残していくことが、自分にできる第一歩なのだと思う。

自分のすべきことは再確認できた気がするけれど、最初の問題「人文知とは?」はまだまとまらない。
腹落ちするまで、向き合わ応と思う。


有識者の集まりってすごい……。







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