『探偵はバーにいる』 [本]
東 直己著
映画を見て、助手?の高田君に惚れ込んで原作を読んでみました。
が。残念なことに、1冊目にはあんまり高田君は出てきませんでした。
がっかり。
それはさておき、終盤にすごく印象的なセリフがありました。
「一カ月で貯金が50万円越えたり、体重が5キロ減ったりすると、それでもう夢中になっちゃうのよ。
そういうタイプの人間って、いるわ」
「おもしろくなるのよ。お金は、貯めれば増えるし、絶食すれば体重は減るわ。そして、捨てた欲望とキープした時間が、目に見える形になって残るんだわ。そうなれば、あとはお金や体重の奴隷よ。人生に生きがいを持ってなけりゃ、貯金通帳や体重計の数字に、たやすく乗っ取られちゃうわ」
なんだか、激しく納得です。
このセリフを読んだとき、東電OLの心情が少しだけ垣間見れたような気がしました。
彼女は1日4人のノルマをこなしながら、ホテルで飲む缶ビールも客に請求するほど、徹底した
経済観念の持ち主だったそうです。
しかし、ブランド物を買うだの、豪遊するだの、特に贅沢をした形跡がありません。
家を購入するような、高額を貯めなくてはいけない目的も見えません。
そして拒食症。
目に見えて、成果がわかる現状に酔っていたように見えます。
まさにこのセリフが、ストンとはまりました。
きっとこの女性は、生き甲斐も将来の希望も、何もなかったんだだろうと思います。
それでも、生きていくために「私、頑張ってる」という、目に見える成果に固執したのではないのだろうか?
それでも、何をしても虚無の世界からは抜け出せず、日々、骸のように過ごしていたんじゃないだろうか。
本のすごいところは、こういうところなんだろうな。
人の心理を疑似体験できる、まったく自分とは正反対の人生を感じることが出来る。
まさに「知層」という感じ。
そういう文章が書けるようになりたい。
にしても、今は東電OLが気になって仕方がありません。
2011-10-15 01:11
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